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親の看取りに「後悔」4割。自分は子に看取られたい?専門家に聞く「死別」からの立ち直り方

ライフ

テレ東プラス

2021.10.16

コロナ禍での死別、孤独死、臨終に間に合わなかった、面会やお葬式ができなかったなど、withコロナ時代の看取りに関して、さまざまな問題が浮き彫りになっています。
そこで、「テレ東プラス」は「親の看取り」をテーマに、「看取りに後悔があるか」「自分は親孝行だったと思うか?」「我が子に看取られたいと思うか」など、さまざまなアンケートを行い、その実態を調査しました。

yahoo_2_20211016_01.jpg画像素材:PIXTA

「Yahoo!ニュース」の協力を得て、全国40~60代の男女2000人にアンケートを実施(2021年9月7日~8日)。「親の看取りに後悔はありますか?」という設問に、「はい」と答えた方は41%、「親の臨終に間に合いましたか?」という設問に「はい」と答えた方は50%という結果に。

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「一昨日母が亡くなりましたが、コロナ禍のため一年半面会もままならず、とても心残りです」「親ががんになり、自宅で介護して看取りたかったが、介護休暇前に病院で亡くなってしまった」「別の病院に転院していたらもっと長生きしてくれたかも...と考えてしまう」などの意見が。特に「コロナ禍で、病院での面会ができないまま亡くなってしまった」という回答が多く見られました。


「親の看取りに対して、後悔が薄れていくまでどれくらいの歳月がかかりましたか?」という設問では、『看取りに後悔はない』と答えた人を除くと、「まだ後悔している」が36%と一番多い結果に。

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「自分は親孝行だったと思いますか?」という設問で「はい」と答えた方は17%、「いいえ」と答えた方は45%、「わからない」と答えた方は38%。
「もう一度やり直せるとしたら、どんな親孝行がしたいですか?」という設問には、「旅行にたくさん連れて行ってあげたい」「話をもっと聞いてあげたい」「傍にいてあげたかった」などの回答が。

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「お葬式にかかった費用は?」との設問に対する回答は、「100万円以上150万円未満」が24%、僅差で「50万円以上100万円未満」が23%という結果に。「コロナ禍で寂しいお葬式になってしまった」「葬式屋さんの言うがままにしたらお金がかかりすぎた」など様々な意見が。

これらの見解を踏まえた上で、「『我が子に看取って欲しい』と考えますか?」との設問には、「はい」と答えた方が39%、「いいえ」と答えた方が61%(子どもがいない方を除く)。
「傍にいて欲しい」「さよならと言って欲しい」という意見も寄せられましたが、「迷惑をかけたくない」「子どもたちにも生活がある」「苦しむ姿を見せたくない」など、子を労い配慮した意見の方が多く見られました。

自責の念や罪悪感を覚える場合、一度その感情を受容することが大切


それでは、大切な家族や身近な人を看取る上で、後悔しないようにするためにはどんな準備が必要なのでしょう。"後悔の念"が消えない人がやるべき心のケアとは?
アンケートの結果を踏まえ、「マザーリング&ライフマネジメント研究所」所長・近藤和子先生に取材。後悔から立ち直る方法、お葬式からエンディングノートの必要性まで、具体的なアドバイスをいただきました。

Q近藤先生が所長を務める「マザーリング&ライフマネジメント研究所」では、死別で苦しむ方を対象に、電話やオンラインなどでグリーフケアを行っています。そもそもグリーフケアではどんなことをするのでしょう。

「文字通りにいえば"悲嘆のケア"を指します。死別に限りませんが、私たちが家族や大切な人を失った場合、一般的に強い死別反応(悲しみ、怒り、罪悪感、不安、孤独、無力、麻痺、安堵等)を体験するものです。また、感情面だけでなく身体症状や行動の変化も起こります。状況や原因がどのようなものであっても、体験によって起こる大きな感情の波とそれに伴って身体に起こるさまざまな事態を"グリーフ(grief)"と呼びます。日本語では"悲嘆"と訳されることが多く、専門的な表現で言うと、グリーフとは"親しい人や大事なものを喪失したときに体験する複雑な心理的・身体的・社会的反応"のことを指します。

人生のさまざまな喪失体験に対する悲しみや苦痛といった悲嘆の状態を"悲嘆のプロセス(人に癒しをもたらすしくみ)"ととらえることで、主にカウンセリングによってさまざまな方向性から援助するのがグリーフケアです。例えば、遺族がご自身の悲嘆の感情をありのまま感じられるように促したり、悲しい経験に意味を見出すことで"新しい現実"と向き合えるように援助します」

Qグリーフケアもひとつの対処法だと思いますが、親の看取りについて後悔がある場合、日々どのように気持ちを切り替えれば良いのでしょう。

「後悔も人の正常な感情的反応のひとつ。"こうすれば切り替えられる"というスイッチのようなものはなく、後悔という課題に対して、故人との関係性や環境、当時置かれていた状況といった要因を見直す、自分の性格や社会的要因を見つめ直すなどし、悲嘆を消化していく必要があります。簡単に言えば、後悔の感情をあえて"味わう"ことにより、結果的に気持ちが切り替わるというイメージですね。人それぞれ、自分なりのグリーフケアスタイルがありますが、後悔から立ち直るというプロセスがその後の人生において"感情的しなやかさ"をもたらし、回復力を高める財産となります」

yahoo_2_20211016_05.jpg画像素材:PIXTA

Q仕事や家庭の事情により「大切な人の看取りに間に合わなかった...」と後悔に苦しむ方もいると思います。後悔から立ち直る方法があれば教えてください。


「"親の死に目に会えない"という言葉があるように、"看取れなかった"という状況要因が、本人の悲嘆を強めることはあり得ます。基本的な考え方は前出のご質問と同様で、"看取れなかった"状況要因を含めて感情を反芻し、できる限り新しい意味を与えることや違う解釈を見出すことで、後悔から立ち直ることができます。
例えば、"自分のせいでこうなった(自責の念)"と感じたり、"もっとこうしていれば看取れたのに(無力感、罪悪感)"と感じる場合、一度その感情を受容した上で、必ずしも自分がコントロールできる状況ばかりではないこと、自分の中で"かくあるべし"というこだわりが強すぎなかったかどうかを検討します。時間をかけてこのような作業を繰り返すことで、少しずつ回復していくのではないでしょうか」

Q今回のアンケートでも、「コロナ禍で面会もままならず、看取ることすらできなかった」という回答が多く見られました。コロナ禍における死別で心がけておくべきことはありますか?

「身近な人と、死別について臆せず話し合っておきましょう。感染対策が優先される中、残念ながら看取れない状況もあり得ます。一日も早く状況が変わってくれるのを祈るばかりですが、"もしかしたら最期を看取れないかもしれない"という覚悟をしておかなければなりません。家族やパートナーとよく話し合っておく機会ととらえてみてはいかがでしょうか。
考えようによっては、パンデミックが私たちのこうした決意、いわば"死別への覚悟"を決めやすくしてくれているのかもしれません。選択肢が多いとかえって迷うこともあります。どのようなことがあってもしかたがないと思えるように、今から家族との対話を心がけ、心の訓練をして備えたいものです」

Qアンケートでお葬式について聞いたところ、「お寺への支払いが多いので葬儀そのものに疑問がある」「大きい葬儀にしたため大変で、家族がゆっくりお別れできずに後悔した」などの意見が挙がりました。近藤先生が考えるお葬式の意味とは?

「お葬式は、まさしくグリーフケアの一つの形だと思います。遺族の心が癒され、回復に向かうためのプロセスとして、お葬式という儀式は必要だと考えます。葬儀費用も最近では透明性が重視され、事前にある程度明確な見積もりがわかるようになってきています。より安心して葬儀を行えるという意味では大変結構なことですが、"コスパ"を求めすぎると本質を見失うおそれがあります。なるべく自分が納得できる葬儀にすることも大切です。喪失体験の直後に、葬儀の準備や実施に没頭することが、心の回復を助けることにもつながります。お葬式から少し話は逸れてしまいますが、私は夫を亡くした直後から、朝6時半~7時の間に朝食をとるというルーティンを続けています。人から言われたからではなく、自らがこうしてみようと選択して、無心にルーティンを実行してみるのです。ひたすら何かに没頭することも、グリーフケアの重要なキーワードとなるので、ウォーキングする、ジムに通う、掃除・整理整頓、断捨離など、ルーティンを意識的に取り込むのが良いと思います」

Qアンケートでは81%の方が「エンディングノートは必要」と回答しました。エンディングノートについて、アドバイスはありますか?

「エンディングノートには、遺言のように法的な基準やルールはありませんが、遺族にとっては非常に役立つものです。死後、誰に連絡を差し上げるべきか(本人としては誰に連絡してほしかったか、逆に連絡不要と考えていたか)などは、親といえどもすぐにわかる人は少ないはずで、たいていは故人の年賀状を集めるなどし、交友関係を推察しながら苦労して手配することになります。ご遺族のためだけでなく、本人が人生を振り返り気持ちを整理すること、また、希望していることをご家族に知っていただく、話し合うきっかけにするためにも、やはりすぐにでもエンディングノートに取り組んだ方が良いでしょう。面倒だと思う方も多いようですが、形式は自由であり、遺言よりも取り掛かりやすいはずです。
エンディングノートは、自分が自分で自分なりの覚悟を決めていくプロセスの練習帳です。
文字にして振り返ること、懐かしむことで、自分にとって何が必要か、遺すべきものか断捨離するものかが見えてきます。一行ごとに、セルフカウンセリングの効果を実感できるのではないでしょうか」

※この記事は「テレ東プラス」と「Yahoo!ニュース」による共同企画で、「Yahoo!ニュース」が実施したアンケートの結果を活用しています。アンケートは全国のYahoo! JAPANユーザー(40~60代以上)を対象に行い、2000人から有効回答を得ました。

【近藤和子 プロフィール】
「マザーリング&ライフマネジメント研究所」所長、「みんなのMITORI研究会」代表、公益財団法人「日本尊厳死協会」理事、看護師。
2006年に東京大学医学部附属病院接遇向上センターの顧問に就任。看護や医療接遇をテーマにした医療介護施設等での研修を100か所以上行う。2015年「みんなのMITORI研究会」を主宰し終末期医療とリビング・ウイル、ケア職やご家族のグリーフケアを考え実践する発信を展開。看取り期の本人とご家族を集中的に支援する「看取りのドゥーラ」や、人間関係をめぐる問題や悲嘆のケアを目的とするグリーフケアカウンセリング「マザーリングパートナープログラム」を提供中。10月に、新刊「看取りのグリーフケア」(ごきげんビジネス出版)が発売される。

公式サイト:https://takenagah.wixsite.com/motheringpartner

※このページの掲載内容は、更新当時の情報です。

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